民法等で、私が苦労したことと対処法①

今回から、各ジャンル毎に、私が勉強時に、特に苦労した項目やポイントと、それにどう対処したかについて、ご紹介します。

テキストやネット等で内容を理解して、過去問で記憶を定着さえすれば対応できる分野は、基本、悩むことはないので、ここではそうではない、私が、理解自体に苦しんだ項目を中心に書いていきます。

まずは、民法等です。

初学者には特にやっかいな民法・権利関係ですが、民法の学習には近道はないと思います。

項目毎に、法律の趣旨を理解し、適用の実際を「イメージ」しながら理解していくしかありません。
過去問を何年分も解きまくって分かったような気分になるより、面倒臭くても、各項目の本質的な理解に努めるべきです。

適用場面を「イメージ」することは、不動産業界の経験などなければなかなか難しいところですが、不動産業界の実情が、机上の理論と乖離?していることが少なくないことから、逆に、現場に精通した業界人ほど試験に合格しにくい、との声もあったりします。

では、具体的な話に入ります。

(1)民法では、何よりもまず(各論に入る前に)、当たり前に用いられている言葉である「法律用語」をしっかり理解しておくべきです。

冒頭に、ここをきっちり理解しておいてから各論に入ると、後の理解のスピードが断然違います。

特に、下記用語のグループは、「定義」「法的効果」を対比させながら、互いの相違点などを、充分に理解しておいてください(*は特に大切):

・権利能力・意思能力・行為能力
・無権代理と表見代理
*意思表示と物権変動
*当事者関係と対抗関係(登記)

【重要ポイント】
 →当事者間では、意思表示だけで物権変動の効力が生じる!
 →第三者との関係では、登記がないと対抗できない!

*無効と取消・追認
*解除と対第三者の権利
・遡及効と将来効

【重要ポイント】
 →無効とは、法律行為の効力がはじめから生じていないこと
 →取消とは、「一応」有効となった法律行為の効力を、はじめに遡って無効にすること
 (しかし)取消せず、追認すればはじめに遡って有効になる
 →解除とは、一旦有効に成立した契約の効力を、遡って消滅させること
 (しかし)当事者相手には原状回復義務を負い、第三者の権利も害することができない

・善意と悪意(の第三者)

私の場合、登記が問題とならず第三者も登場しないはずの「当事者関係」と、第三者に対し登記が問題となってくる「対抗関係」(ここに、登記不問の善意の第三者や悪意の第三者という話も割り込んできます)については、恥ずかしながら、学習の終盤でようやく理解できました。

あれだけ勉強していて、実はこんな基本的なことも分かっていなかったのは、用語の意味するところを何となくしか理解していなかったから、と後になって反省したので、皆さんには是非、ここから始めていただきたいです。

(2)同じく始めに、民法に登場する「権利の種類」を整理しておくべきです。

物権債権のくくりから

物権と債権の原則を押さえましょう:

物権:法的効果が絶対的、法定の種類のみ存在←「物権法定主義」
債権:法的効果が相対的、当事者間で自由に生み出せる←「契約自由の原則」

利用目的のくくりから

さらに、不動産に関する物権や債権は、権利の利用目的(法的効果)の観点から、以下に分類されます:

所有権:全面的に支配(使用・収益・処分)できる権利 ←「所有権絶対の原則」
所有権(土地・建物)<物権>

用益権:利用させてもらえる権利
地上権(土地)<債権>
賃借権(土地・建物)<債権>

【重要ポイント】
→建物の所有を目的とする、地上権または土地の賃借権が、借地権です
→建物の賃借権のうち、借地借家法の適用を受けるものが、借家権です
→借地権付きの土地の所有権が「底地権」で、借地権+底地権=所有権、となります
・その他、土地の便益に関する地役権<物権>があります。

担保権:交換価値としての権利(競売可能)
抵当権・根抵当権<物権>
・質権<物権>
・占有権<物権>
・留置権、先取特権<物権>(これらは法定)

各論が始まると、上記の法律用語や権利の名前が、当たり前のように頻出します。
まず、それらの意味するところを正しく理解しておかないと、テキストに例示されたシチュエーションすら、正しく把握することはできません。

まず、法律用語や権利の定義から、きっちり理解しておきましょう。
そして、これらを書き留めた「クイックレファレンス」を作っておいて(または、一問一答集に書き込んで)、いつでも参照できるようにしておきましょう。