中高年求人の実際

ハローワークで求人検索(在職中も利用可)

早期退職後、生まれて初めて、ハローワークの端末で求人情報の検索を行いました。

端末を操作した最初の感想は、図書館の蔵書検索システムなどと同様、公共施設のIT機器のインターフェースは、何でこうも使い勝手が悪いものになるのだろう、ということでした。

特に、「検索条件の絞り込み」では、一番肝心なはずの、専門性や対象業務等の選択に用意されたカテゴリーが、やたら限定的だったりまたは冗長だったり、さらに、それらを論理和でしか扱えない上に、検索結果の多重的な絞り込みもできないという、実に不自由な仕様です。

その結果、確信のない選択肢からできたノイズだらけの母集団から、1件1件、個別の求人内容を画面で確認していかないといけないという、非効率な検索作業を強いられます。

おそらく、要求仕様の策定時に、実際の使用者目線の「あるべき姿」を目指すことなく、いまある制約条件の中だけで、できそうなことだけ机上で積み上げたのでしょう。

蓄積された求人データベースだけ提供して、後は汎用の検索エンジンを組み合わせれば、利用者が自由なフリーキーワードの組み合わせで全文検索ができ、本当に必要な情報だけを短時間で抽出可能な、よっぽど安価なシステムになったのに、と感じずにはいられませんでした。

中高年求人を徹底分析してみた

とにかく私も、何度も、ノイズ取りに虚しい時間を掛けながら、今の自分の立場やスキルで応募可能性のある仕事(フルタイム)を探してみました。

結果的には、ノイズ情報も見たことで、期せずして様々な求人も参照できたため、「中高年も応募可能な求人」を、他の求人と比較対照して閲覧することにもなりました。

ここでは、その検索の日々を振り返って、私なりに見出した分析結果をご紹介します。
以下、あくまでも私見によるもので、用語等の選定に他意はありませんし、データの正確性を保証するものでもありません:

<中高年が応募可能な求人に関する分析>

2017年8月までの約2年間で数回、関西の複数のハローワークで検索して(50歳代、フルタイム、希望職種は色々変えてみた)得られた結果を、求人票の内容にもとづいて、自分なりに、以下の3つに分類・評価してみました:

(1)スキル・経験を求めないもの

・職種は、一般事務(データ入力や補助等)、製造・工事現場作業(勤務先の指示どおり働く定型作業等)、接客・サービス(居酒屋、コンビニ、ホテルフロント等)、輸送(普通免許での軽配達)、施設管理(寮の管理人等)、設備管理(資格の要らないもの)、警備・保安、清掃、介護施設の夜勤、など。
・報酬は、10万円台前半〜10万円台後半が一般的。
・同、肉体的にハードまたは危険な職種のみで、20万円を超える印象。
・これらの求人において、中高年に全く優位性はないので、採用時に若者と競合すれば、使いやすい彼らから採用されるだろうことは容易に想像できる。
・若者の応募が少ない業種でのみ、中高年が採用される余地があると思われる。

(2)スキル・経験を求めるもの

・職種は、専門的事務(経理や貿易関連)、不動産事務(宅建資格)・営業(不動産、保険経験)、設備管理(ボイラー・電気管理士、マンション管理士等)、建築土木(職人系、特殊免許)、運輸(大型等免許・長距離、バス、タクシー等)、介護福祉(ケアマネジャー等)、など。
・さらに、語学系(TOEIC等)、司書、遺跡調査(大学専攻が考古学)、法務職(司法書士、行政書士等)、技術者(電気・機械・プラント、IT系、WEBデザイナー等)などもあった。
・報酬は、10万円台後半〜30円万台が中心(報酬上限は、職種ごと、スキルの難易度や経験値によって大きく変動する)。
・特に、マネジメントや部下指導を求めるもの(職種問わず)、歩合の不動産営業、建築土木の職人、IT系・ウェブ系技術者の報酬上限が高かった(職人では、報酬上限が50万円台のものも)。
・実務の経験値を求めるスキルでは、中高年でも有利と考えられるが、中堅世代の優秀な応募者が居れば、競合することが予想される(つまり能力勝負、能力が同等なら彼らが優先されるであろう)。

(3)中高年ならではの特定のスキル・経験を求めるもの

・職種は、営業の上級管理職、技術の上級管理職、海外現地駐在管理職・工場長・現場監督、など、より経営に近いマネジメントや自ら業務率先遂行、技術指導を含むもの、など。
・まさしく、在職中の特別な実績や経験がそのまま使える、特定の中高年のみの求人と言える(もちろん、経験値のある中堅世代も該当可能)。
・報酬は、50万円を超えるものも多数。
・プラント施工管理の求人では、中近東での勤務で70万台というものもあった(危険手当込みか)。

分析結果からの見えるもの

以上は、検索端末で見た求人票の内容(字面)からのみの分析ですので、雇用対策法により年齢制限が原則禁止されていることだけでヒットしているものや(実は応募後に、採用側の事実上の年齢制限がある)、報酬の上限にも現実とは乖離した意図的なものが含まれている可能性があることは考慮していません。

それでも、実際の求人内容を見た限りでは、中高年でも、対世的にアピールできるそれなりのスキルや経験があれば、必ずしも、再就職先がない訳ではないようです。

もちろん、スキルと言ってもピンキリですし、応募者自身のレベルの高さや、保有資格等の難易度などによって、採用可能性も、また提示される報酬額も、こちらの思いとは大きく食い違うこともあるでしょう。

しかしながら、ただ一つ間違いないことは、

企業在籍時に「社内だけで通用するスキル(処世術)」だけを身につけて、世間で通用するスキルを醸成することもなく、年功序列と社内力学だけで昇進もした、「単に年食ってきた」だけの中高年の場合は、上記(1)の「スキル・経験を求めない」募集分野で、若者や中高年女性たちと競合しながら、何とか職を得る選択肢しかないだろう、ということです。

仮に、早期退職前は「部長」であったとしても、プレイングマネージャーの側面がなければ、その肩書は殆ど意味を成さないでしょう((3)の求人は、まさにそれ)。

たとえ、スキルを求めない求人で運良く職を得られたとしても、年下の上司にアゴで使われたりして、それまでのプライドがズタズタに傷つく場面に、早晩、遭遇するだろうことは容易に想像できます。
その時にこそ、サラリーマン時代の「プライド」をかなぐり捨ててまで、辛抱して働き続けることができるのか/するのかの「覚悟」を問われることになると思われます。

もし、その現実が受け入れられないことが容易に想像できるなら、早期退職後の再就職は最初から考えない方が良いかも知れません。

その代わり、自分の力でどうにかすることになります。

すなわち、断片的なキャリアを寄せ集めてでも、フリーランスや起業にチャレンジすべく、在職中から全力で準備すべきです。
あるいは、キャリアを必要とする求人にチャレンジできるよう、求人票に具体的に書かれた資格の取得を、短期集中で目指すことです。

そして、いずれもできないのであれば、そもそも早期退職には踏み出さない方が良いのではないでしょうか。
定年までの在職中に、会社の力で何とか再就職先を見つけるか、可能な限り、雇用延長の対象にしてもらうことで、サラリーマンたる特権を最後まで使い倒す方針を、ブレずに貫く方が賢明だと思います。




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